おくりびと顔

山崎努

公開が始ったばかりの映画『おくりびと』が

米アカデミー賞の外国語映画賞部門に

日本代表として出品されることになったそうな(9/12)

「納棺の儀式は日本固有の文化を描いており、

国内外に伝えるべき作品である」

世界最大規模の映画祭の日本代表として

ふさわしい作品だと、29あった候補作の中から、

選考委員の圧倒的指示を受けての選出だとか。

いや〜、なんだか嬉しいなあ

実は、この映画の納棺儀式の様子を

撮影前に画コンテにする仕事をさせてもらったのだ。

滝田洋二郎監督と撮影の浜田毅カメラマンに

はさまれて、指示を受けながら

本木雅弘サンと山崎努サンが

演ずることになる納棺儀式のカットを数十枚の絵にした。

主演のモックンが本物の納棺師さんによる

実演を熱心に観察しながら、

しきりにため息をついていたっけ。

納棺の所作の練習をはじめたばっかりだったみたい。

ワタシは山崎努サンの大ファンなので

ふつう、丸にバッテンの単純な顔や

おおざっぱなラフスケッチしか描かない

画コンテについつい力が入ってしまい、

監督から「山崎サンだけ、似すぎ!」と

笑われてしまった。

ところで、この映画中で

主人公・大悟がチェロを披露する

印象的なシーンがある。

棺桶が並ぶ殺風景な事務所で、

大人三人だけのささやかなクリスマスパーティ。

アヴェ・マリアを弾こうとして大悟が

「宗派とか、大丈夫ですか?」

たずねると、山崎サン演じる社長

「気にすんな!ウチはキリスト教から仏教まで

全部対応してるから」

ユーモアのある大好きなシーンだ。

『おくりびと』はモントリオール世界映画祭でグランプリを受賞したり、

中国最大の映画賞でも観客が選ぶ、作品、監督、主演男優の

三冠を独占(9/12)したりと、海外での評価がすごく高い。

世界共通のテーマを扱っているせいだろうね。

21世紀になった今でも、世界では

あいかわらず宗教間の争いが絶えないし、

イザコザが解決できない。

だけど、世界中どんな宗教だろうと

人は必ずこの世を去らなきゃならない、という

現実と向き合わなきゃならないことは共通のはずだよね。

人はかならず、「おくりびと」だし

「おくられびと」になるんだ。

宗教心が薄いとされる日本に

この映画が誕生し、

世界に

おくり出された

ことがホント、嬉しい。



 TOPページ   ランキング一覧   ご意見


イラスト・文章の無断転載を禁止します/著作・松村宏