再現ドラマ顔

ブッシュ米大統領

オリバー・ストーン監督の話題の映画

「ブッシュ」を観てきた(6/1)よ。

いわば再現ドラマ風映画だった。

間違った情報でイラク戦争に踏み切るという

歴史的な大失敗を犯した前米大統領。

その理由を、大きな要因であるはずの

石油産業や軍事産業の

巨大利権の圧力についてはさておき

ほとんど、ブッシュ前大統領個人が

父親との間に感じていた

強烈な劣等コンプレックスが

戦争原因のように監督は描く。

だから、まるでコメディー

みたいなテイストになってる。

監督は批判的な演出を

敢えて押さえたように見えた。

それは、ブッシュというひとりの人物を

批判でもなく、かといって褒め称えもせず

客観的に浮き上がらせることができたら

それがもっとも痛烈な批判になるという

逆説的な狙いがあったんだと思う。

だから映画にドラマチックな展開を

期待する人には、この作品は

ぜ〜んぜん面白くないんじゃないかな。

だって、映画が描こうとしているのは

ブッシュというオジサンが、

いかに器の小さい男だったか。

ほとんどそれにつきるんだもん。

とどのつまり、イラク戦争は、

器の小さい人間が、自らの分をわきまえず

身に余る責任を持ってしまったために

おこった悲劇だった、と。

「九死に一生スペシャル」とか

災害などから奇跡的に生還した人の

実話を再現ドラマで紹介する

テレビ番組がワタシは好きだ。

どんなにハラハラしても、結局助かるんだという

安心感が、お茶の間にはちょうどいい。

ところが、この映画は再現ドラマでありながら、

助かる人はどこにもいない。

逆に、結果として多くの人が

理由もなく殺されちゃう話だ。

この映画では、何度もブッシュさんの

行動に、笑ってしまう。

でも、それは痛快なものではなく

嘲笑・苦笑のたぐいに近い。

だけど、笑っていていいんだろうかと

考え込んでしまった。

それは九死に一生ではなく

万死に一笑

だもん。




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